はじめに
本コラムで約1年間続けた僕の戯言を終了する。
どのくらい見られているのか分からないけど、
少なくとも部員の皆からは感想をもらっているし読者がいることは素直に嬉しい。
卒業前に色々投稿しようと思ったが、僕の同期のように
本の紹介や旅の記録など、さまざまな人の目につくような記事は書けなかった。
しかし、僕にも語れる部分があるとすればクライミングだと分かった。
クライミングにはサッカーや野球のように明確な運動要素は無く
「ランジが苦手だから、引き付けて体を固定して次のホールドを取る」
とか
「身長が足りないから別のムーブを試す」
とか
その人に合った、またその人ならではの運動要素を出していくスポーツである。
したがって、主観まみれの記事になることは明確で
特にシューズなんて好みがはっきりと分かれるため公に出すかどうかも迷っていた。
それでもクライミングについて色々書くことを決意した。
それは僕がこれまでクライミングを続け好きでいられたのは諸先輩方の影響であり、
僕も後輩たちに対するインフルエンサーになりたいと考えていたためである。
何が言いたいかというと、部という団体に所属しているからには
在籍中に学んだ事、感じた事を後輩たちへ還元したいと強く思ったのだ。
話は変わるが、今の部員には簡単に2種類の人間に分けられると考えている。
1つは「自分がやりたいことを突き詰める部活動」という特徴のもと、自分のやりたいように部に参加している者。
もう1つは「大学の中にある1つの団体、40年以上存続している伝統ある部活動」に参加している者。
僕は後者の人間であるから、
大学とか卒業生からの支援(図々しいけど)を頂きたいし(いつもありがとうございます)、
そのためにはSNSや部のHPで自分が何をやっているかをPRする必要がある。
結果、僕が在籍している間は大学からの支援も多く頂いているし(本当にありがとうございます)、
卒業生には色々力を借りた(お世話になりました)場面もある。
ぶっちゃけ、HPを見て部の動向を見ている卒業生を知っているし、何なら自分もそうなりそうである。
そういった思いからもこのコラムを書いていた。
とにかく、自己満足的記事に1年間お付き合いしていただきありがとうございました。
本題に入るが、
FUTURAというシューズについて僕の思うところを書いていく。
超ハイスペック
何よりもこのシューズの潜在的なスペックがとんでもないことになっている。
先に述べておくと、このシューズでできないのは
小さい穴に捻じ込むことだけである。
と言ってもno-edgeという特徴からそれができないだけで、できること(寧ろ出来過ぎる)の方が多い。
エッジング
なんだこれ!?っていうくらい細かいホールドに乗れる。
La Sportivaのホームページにも書いてあるが、
エッジが無い分素肌とホールドの距離が近く、さらに力が均等に入る。
したがって
ホールドの形、大きさ
が正確に足に伝わってくる。
もっと言うと、
エッジのあるシューズ(例えばパイソンとかteam 5.10)だと
エッジの部分がグニャと曲がるため踏み負けることがある。
しかしノーエッジだと、このグニャと曲がる部分さえ存在していないため、
踏み負けることは無い。
具体的にいうと、、、、
正直FUTURA購入後(2017年1月)からは岩はほとんどFUTURAで登っているため、違いを説明できない。笑
オブザベをした段階でFUTURAだと思ったら、ずっとこれでトライしている。
逆にこれはFUTURAじゃないなと思ったのは瑞牆の千里眼である。
細かいポケットが存在している千里眼は先述の通りFUTURAだとあまり踏めない。
ちなみにこれはMIURAが最も適していると思う。
小川山の穴社員とか穴社長とかは問題ない。
そういえばBishopの話になるが、
Sad BouldersにあるFrench Press(スラブのV6)というルート、
先にSolutionを使用していたがスラブ特有の薄いホールドに全然乗れなかった。
しかしFUTURAに履き替えた次のトライで
全ホールドに乗れる感覚を得ることができて、何の難もなく登れた。
そしてまたBishopの話だが、
Happy BouldersにあるStanding Ovation(フットホールドがシワ程度で7-8mmのクリンプが続くV7)では、
最初VIMで登っていて同様に踏めずに
FUTURAに履き替えたら難なく登れた。
「FUTURAは最高のエッジングシューズである」
これはあながち間違っていないのかもしれない。
フック系
ヒールフック
これに関しては、
MIURAという最強シューズが存在しているためこれを超えることはない。
信頼度で並べるとしたら
MIURA>INSTINCT VS>FUTURA>HI ANGLE>PYTHON
って感じだろう。
ミッドソールが無く結構グニャグニャするため力を込めると、
ベルクロがあれど脱げてしまう。
と言っても性能には申し分ないため、激烈なヒールフックを使わない限りはFUTURAで問題ない。
激烈なヒールフック・・・。瑞牆のダブルカンテのスタートとか。
トウフック
こちらは性能で並べてみよう。
UP-MOCC>K-01>VIM>INSTINCT VS≧FUTURA≧HI ANGLE
最後三つはそんなに差が無いため、曖昧な表現にしておいた。
やはり甲部分のソール面積が多いと
摩擦の効く面積が高くなるためトウフックはしやすくなる。
FUTURAはこれに関しては及第点といったところか。
ただ、ゴムと皮の接着が弱いのか結構はがれやすい。
もうちょっと面積を増やしてほしいと思う。
スメアリング
スメアリングに関しては
このシューズの右に出るものはないと考えている。
めちゃくちゃ踏める。以上。
といきたいところだが、知りたいのはそこじゃないという声が飛んできそうなため詳細に述べよう。
これは最近のハイエンドモデルのほとんどに言えることだが、
シューズのミッドソールが無い分スメアリングで立ち込む時に、
足の裏全体を使って踏めるため信頼度が増す。
ミッドソールが有れば有るでつま先での立ち込みが有利になるんだけどね。
さて、FUTURAの強みはここからである。
結構概念の話になるので、分からなかったらスルーしていただきたい。
説明するのも難しい。
例えばエッジのあるシューズを履いてハリボテのような平らな面につま先立ちをする。
その時の接地面というのは
靴底→エッジということになるが、
体重がエッジに移る際に足の力が一瞬入りにくくなる。
極端なことを言うと、鉄の直方体を履いて歩いてみろということだ。
足の裏からつま先に力を入れる時、
つま先へ力が入りにくいため普通より力を込めると思う。
しかし、この直方体の角が丸まっていたらどうだろうか。
鉄で足の裏が硬いとは言え、
つま先への力の入力がスムーズになることが予想できる。
何が言いたいかというと、平らな面でもシューズの接地面を気にせず、
自分の置きたい足の向き、力の入れ方で踏むことができる
ということである。
足を残そうと思っても、
親指でもインサイドでもアウトサイドでもどこでも残る
革新的な足使いをすることができるのだ。
結論
多くのシューズは、どこか突出していてどこか及第点未満というものが多いだろう。
しかし、このシューズは全て及第点以上をたたき出し、エッジング性能に関してはどのシューズよりもはるかに良い。
ちなみに足入れはめちゃくちゃ良い。
しかし、独特のベルクロ構造から足とシューズのフィット感も最高である。
簡単に言うと、素足に近い感覚で登れる画期的なシューズである。
スリッパやレースアップのno-edgeもあるが、僕はFUTURAを推す。
スリッパは脱げやすいためであるが、レースの方は少々硬い造りになっていると感じる。
no-edgeの性能はFUTURAの剛性、ターンイン、ダウントウといった造りから生み出されると考えている。
履いたことの無い人はぜひ一度は履いてほしいと思う。
以上。
今までありがとうございました。
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