積雪期西穂奥穂縦走【2024.11.16-17】

共同装備   プルージック、180スリング×2、60スリング×2、PAS
個人装備ザック、ハードシェル、登山靴、アイゼン(Linx)、フリース、ベース、ゲイター、マット、寝袋、食器類、50mロープ、ハーネス、ATC、安全環付きカラビナ×4、グローブ、バラクラバ、ヘルメット、地図、コンパス、 (テント、ガス、バーナー)
服装厳冬期装備に準ずる
天気雨か雪。強風
気温0℃

感想

どうも。47期山部門長のあさきです。積雪期ジャンダルム縦走を終えました。夏でさえグレーディングで評価不可を付けられるような難ルートを雪と天候の安定しない初雪期に行こう。というとんでもない山行でした。

実際行ってみると下調べ以上に難度が高く、夏道が発見できない、できても雪で使えない場面も多く行けそうなところからロープを駆使して進んでいく。

また、崖にカムとナッツを駆使してツエルトを貼り、命を繋ぐためのビバークをしたりと、大冒険の2日間でした。

これは報告書であり探検記です。暇な人はご覧ください。 間違ってもここへ実力のない人が行かないように。一般登山の範疇ではありません。というかバリエーションルートさえこえて立派なアルパインです。

ご一緒してくださったぺえさん、本当にありがとうございました

11/16

0:00 自宅出発

思ったより雪がないらしいと聞いて、クオークを置いていく。この判断は間違いではなかったのものの、より活動難度が上がる覚悟をすべきだった。 雪は全然あった

5:10 新穂高口着

駐車場で仮眠をとる。穂高を見ながら寝るためにめっちゃ早く来た。 ぺえさんは寝坊して後4時間かかるらしい。もともと9:00のロープウェイなのであまり問題なし。探検部たるもの1時間までは遅刻じゃない。(ぺえさんは九州大学探検部OB)

10:00 ロープウェイ西穂高駅

ぺえさんと合流。のちロープウェイへ。アクセサリーと称してカムをザックにじゃらじゃらして持っていくと何人かが話しかけてくれた。 使う予定なくても持っていくと気分上がるよね

12:00 西穂独標

ここまでなにも問題なし。雪もないし人もたくさんいる。ここまでなら北アルプスデビューに最適ではないか?最後ちょっと怖いけど。

西穂独標にて。ここからコンテの練習をする

ここまでで、ぺえさんのK2登頂の話を聞いた。K2では当たり前のように人が死ぬ。チームで3人なくなってしまったらしい。

俺はK2をなめていたのだなと思い知った。いつかK2行きたいなんて軽々しく口にできるほど甘い場所でなかったと知った。

それでも、そんな環境でも、今は実力が足りなくてもいつか登頂を夢見てしまうのは、探検部に染まりすぎたのだろうか?

みたいに覚悟完了してると、いままで行った山の話を聞いてくれたぺえさんが「K2隊申し込めば多分受かるんじゃね?」と。

隊に受かるのと登頂はまた別問題だが、すこしK2が近づいた気がした。 さっきまでの覚悟よ。

13:30 西穂高岳

独標からコンテ(=コンテニュアンスビレイ)の練習をしながら西穂高へ。地形は険しいが整備されていてかなり歩きやすい。ここと八海山が同じ難度ってのはうそだと思う。

ここからは本当の危険個所。夏ならば一般登山の最難関的位置づけだがいまは雪。本当のアルパインの世界だ。

当然だが誰にも会わなかった。

いざ夢の舞台へ

16:00 天狗の頭

全然進まない。飛騨側には雪が積もりルートファインディングが困難。夏道が利用不可の場所も多い。これが厳冬期ならば割とどこからでも登れるが、この雪ではピッケルもアイゼンも効かない。

夏道発見!!!

なんとか行けそうな地形を探して登るも基本とんでもないガレ場。

これがジャンダルムへの洗礼か。

そうして逆層スラブを超えるころには、すでに16:00になってしまっていた。

逆層スラブ 信州側だから雪がない。まじ助かった

17:00 ジャンダルム下、ビバークポイント

天狗の頭の時点で、ここからビバークポイントを探しながら行くことを決定。本当はジャンダルムの山頂でビバークしたかったがやむなし。

うまいことすすむが相変わらず道はない。ブッシュを踏みピークへ直登する。

日暮れに崖に二人が何とか寝転がれそうなスペースを発見したので、頑張ってそこでツエルトを貼る。頑張ればスリングとかで貼れそうだったが、見た目がかっこいいからカムやナッツを駆使してツエルトを貼る。強そうな見た目になった。

完成したのがこちら。

完全には閉じれなかったので風は入るものの雨は防げる。雨漏りするけど。         そしてかいとさんからもらったリゾッタ(クリームチーズとサーモン)を食べる。死ぬほどおいしかった。モンベル最強。

天気予報を見ると前線の動きが早くなり、明日はもっとあれる模様。なんとしてもそれまでに奥穂高へ抜けなくてはならない

結局、雨もりや結露でシュラフが濡れ寒すぎたので、シュラフを2人繋げ、お互いのの体温でなんとか一夜を過ごすことに。今考えるとすげえシチュエーション。

まさに命を繋ぐビバークである。

11/17

4:00 起床 寒くてあんまり寝れなかった。が命は繋げた。 リゾッタ(梅)を食べツエルトを撤収し即出発。動いていないと寒さで死ぬ。なんせずっと暴風雨だからね。

5:00 出発

ここからが核心部であった。本来ここからトラバース道があるのだが冬なので雪で発見できない。

とりあえず行けそうなところから登るが、結局は稜線を進むことに。

明らかにやばいトラバース、FFなら5級くらいつきそうな箇所などを超えていると相方が夏道のペンキを発見。そこまで何とかクライムダウンして夏道へ降り立つ。 夏道のなんと歩きやすいことか、おたがい笑いながら進んでいくと、ジャンダルムが姿を現した。

めっちゃ強そう。

7:42ジャンダルム

叫んだ。ただただ叫んだ。

夢を成しえた嬉しさ、相方への感謝、この場所にこの時期に降り立った自身、そして後輩たちに道を示せた安心。 いろんな気持ちがあふれ、それが言葉にならない叫びとなって出た。

さあ、生きて帰るぞ。

9:30 ロバの耳

ジャンダルムからは50mロープ1本での懸垂下降。めっちゃいい位置に懸垂支点があり助かった。お互い寒さで震えながらの下降となった

普通ならジャンダルムの信州側を見る機会はないが、懸垂下降の特権で見れた。超かっこよかった。

ここから雪がさらに増える。のに地形はさらに険しく

11:10 馬の背

ロバの耳が積雪期の核心という話はよく聞くが、その通りだと思う。ロープなしでは降りれないし多分登れない。 2回懸垂下降ののち、めっちゃ怖いトラバースをして3度目の懸垂下降へ。 懸垂下降できなければここは無理だろう。雪と岩のミックス

そしてみえてきた最後の番人・馬の背

おたがい感情が高ぶって、「なにが馬じゃごら!!!」「馬刺しにしてやる!!!」と叫びながら暴風雨の馬の背へ。

アイゼンを付けていたが、ここがものすごく簡単に思えた。 それだけここまでやばかったんだな

11:52 奥穂高岳

やった。 ついにやった。 初冬西穂奥穂縦走 達成である。 相方とお互いをたたえあい、喜びをかみしめる。

奥穂は雪が降り積もり。氷が降っていた。

12:30 穂高岳山荘

軽い低体温にになる、なんとか動けるまで体を温めたら白出沢から下山。 台風並みの風と冷たい雨交じりの雪で震えながらなんとか下りきれた。

白出沢は一応バリエーションルート。だがなんなく下りきれた

18:30 下山完了 生きて帰ったぞ!!!!!

19:00 平湯の森(温泉)

目的のところがしまっていたので平湯の森へ、おすすめ ぺえさんがとんかつと温泉を奢ってくれた。ありがとうございます。

7:00 自宅着

めっちゃ仮眠とって帰った。一限つらかった

成果

初冬の西穂奥穂縦走を達成した。これは探検部史に残るだろう

感想

人生での大きな1ページになった。最高の大冒険だった。

しばらくはこの喜びをかみしめると同時に、次の冒険への準備を進めようと思う。

自分がやりたくて自分で動いて、そしてパートナーの力を借りて成した結果。

これはずっと誇りに思おうと思います。

ぺえさん、本当にありがとうございました!!!来週もがんばる

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