【バッタを倒しにアフリカへ】
前野ウルド浩太郎著、光文社、2017
かなり昔になるが、縁あってお話しする機会を持ったプレジデント誌にお勤めの石井伸介さん(当時。現・苦楽堂代表取締役)がFacebookで紹介されていたのがきっかけで気になっていた一冊。
学部の同期との雑談で口上にあがったこともあり、読んでみた。
本書は、一言でいうと極上のエンターテイメントである。バッタを倒しにアフリカへ、ふむふむ、、、?タイトルも奇天烈である。
早速ページを読み進めてみると、開始5分で著者の夢を知ることとなる。
少年時代からの著者の夢こそ、「バッタに食べられたい」ことである。
開いた口がふさがらない。笑
以降研究を続け、博士課程を終え、ポスドクの進退をかけアフリカに単身フィールドワークに向かうところから本書はスタートする。時すでに31歳である。
舞台はアフリカ・モーリタニア。日本でこそバッタ被害は深刻でないが、彼の国では「神の罰」と呼んで恐れられる災害の一つに、バッタの飛来が挙げられる。
現地に設置されているバッタ研究所にて、バッタ研究に奮闘する姿と、思い通りにいかない様子のミスマッチが絶妙に面白い。
本書を読むことで、モーリタニアについても知ることができた。
JICAや日本政府が各種支援をモーリタニアに対して行なっているらしく、日本人に友好的な国だという。
現地の人にとってヤギは最高のご馳走であり、プレゼントをすると、とても喜ばれるらしい。
また、あの築地銀だこのたこ焼きにはモーリタニア産のたこが使われているらしく、日本のマダコと食感が似ており、日本人好みなのだという。
ちなみに、本の帯には「科学冒険就職ノンフィクション」とある。
読み終えて、「就職」という言葉の意味も腑に落ちた。
文字通り、バッタに人生を、命をかけているひとりの男の生き様が描かれている。
著者の研究模様は、前人未到のパイオニアワークであり、その戦いぶりはまさに探検であると思う。
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