世にも奇妙な物語集【鈴木読書】

【世にも奇妙なマラソン大会】
高野秀行著、集英社、2014

土曜に続いて、本日も高野氏の著作。
本書の構成は世にも奇妙なマラソン大会in 西サハラ、ブルガリアで出会ったゲイの男性との蜜月()、
名前変更物語、そしてアジア・アフリカ奇譚集(笑える話だらけ)という4つに大別される。

 

はじめに紹介される世にも奇妙なマラソン大会とは、西サハラで開催されているサハラマラソンのことである。
西サハラの発展ために開催されている大会であり、今回の大会では28カ国の国々から参加しているという。ボランティアも多く、大会に関わっており、国を挙げて支援されている。ちなみに著者は、日本で、いや、アジアではじめての挑戦者であるという。現に、この大会では著者以外にアジアからの参加者はおらず、期せずしてアジア代表になってしまっている。
アジア40億人のうちのたった一人の参加なのだ。
そういえば、2017年6月のアドベンチャーレースで出会った夫婦が新婚旅行でサハラマラソンに参加したと言っていたのを思い出す。
もしかしたら、この本を読んで行ってみよう!となったのかもしれない。

 

印象的だったのが、サハラマラソン大会が開催された西サハラでは、イスラム圏なのに女性の立場が強いという独特の現象が起きていることである。普通イスラム圏では、来客には男性が応対し、女性はなるべく表に出ないという。西サハラでは、その女性が来客をもてなし、男性は手持ち無沙汰でいるらしい。
著者はその理由を、戦争から来たものと推測している。これは、旧ソマリア内の独立国ソマリランド に共通しているという。
どちらの地域も、戦争があり、男性が出兵していた点が共通していたという。その間、女性が国内のさまざまなことをこなすため、自然と女性の立場が強くなったという。
なんとも独特な国である。

 

他にも、入国禁止になっているインドにど〜しても入国するために、あの手この手の策を弄して奮闘する姿がなんともおかしい。
個人的に一番好きで、何度も声を出して笑ってしまった。

どの話も強烈にユニークで、超絶面白い話だらけの贅沢な一冊である。

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