地図のない場所で眠りたい【鈴木読書】

      2018/04/15

【地図のない場所で眠りたい】
高野秀行、角幡唯介(ともに早稲田大学探検部OB)
講談社文庫 2016

鈴木読書、第1冊目。今日は早稲田大学探検部出身の作家に関する一冊。2017年には未踏峰の山を登頂し、「ワセダ山」を生んだワセダの探検部。彼らのDNAの源をのぞいてみました。

早稲田大学(以下ワセダ)探検部OBの2人による対談形式で記された本書が触れるテーマは多岐にわたる。
彼らが探検家になるまで、ワセダの探検部とは、作家としてのプライド、彼らが記してきた著作やその題材となった現場、ひいては「探検とは何か」にまで触れていく。

高野秀行に関しては、個人的に著書を多く読んだことやクレイジージャーニーに出演したことで、多少なりとも知識はあったが、本書でさらに深い部分まで紐解かれていった。
彼が作品を書くときに意識していること、ワセダの探検部で10年下の後輩にあたる角幡唯介から見た高野秀行像など、高野秀行ファンなら必見の一冊といえる。

一方、角幡唯介は「空白の5マイル」や「アグルーカの行方」など名著を多数世に送り出しているバリバリの探検家である。
あとがきで高野も触れているが、行き当たりばったりに見えながら、探検部の精神性のようなものを追い求めていく姿は非常に特異である。
角幡唯介の探検部らしさが垣間見える対談であると思う。

印象的だったのは、高野秀行が現役だった頃に、探検部の主流派がごっそりと抜けたことで部の存続の危機に晒された際のエピソードである。
高野が幹事長(部のトップ)になってまず始めたことが、朝から晩まで部室にいるということであるという。
高野自身は部室に四六時中こもり、部員を呼びつけ歩荷トレーニングを行うなどユニークな活動を始めた。
部として初めて勧誘を行うなど、変化を恐れず、新たなことにチャレンジする姿勢がうかがえる。

故きを温ねて新しきを知る、そんな言葉を思い出させてくれる本書は、探検とは何かと考える部員にとって、新しい旅へのヒントになる一冊だと思う。

鈴木読書
※敬称略

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