流学日記【鈴木読書】

【流学日記】
岩本悠著、文芸社、2003

大学3年の末、就職活動がひと段落した時に読んだ本。あれから一年、学生のうちにもう一度読んでみようと思い、読破。

 

タイトルにもあるとおり、本書で語られる海外への学びの旅は、留学ではなく「流学」である。
留まらず、流れるように。世界中を舞台に学びの旅に出た若者の話。若者といっても、私の一回り以上年上のの人生の大先輩である。

テレビ越し・教科書越しではなく、自分で足を動かし、五感でとにかく本物を見続けた旅。
著者は他人事ではなく、常に自分ごととして物事を捉える。旅の途中で、地球全体が僕の教科書だ、と確信する。
なんともスケールの大きい話である。

 

個人的に、本書に登場する好きな言葉は、「ぽれぽれ」というスワヒリ語である。
ゆっくゆっくり、とか、まあまあ気楽に力を抜いて、という意味らしい。
日本人の好きな、ガンバレ、の反対語とイメージしてもらうのがわかりやすい。
シンドくて、どうしようもなくなった時、まぁぽれぽれ行くか、という風に使える言葉です。
多分、探検にも、会社に入ってからも活かせる言葉だと思う。日本人は働きすぎとよく言われる。不遇なとき、不条理にぶつかったときも、「ぽれぽれ行こう、命まで取られるわけじゃないし」と思考をデトックスできると思う。
口に出してみると、なんだか楽しくなってくる。ぽれぽれ、ぽれぽれ。

 

著者は現在、教育改革や地方創生のモデルケースとして注目を集めている、あの島根県海士町の取り組みにも参画しているという。
この島では、修学旅行で海外にホームステイをし、英語で現地の学生にプレゼンテーションをするという。徹底したグローカル教育も行なっており、いまや島外や県外からも入学を希望する者が少なくないという。

 

溢れ出るエネルギーをどう使うか、自分のためか、目の前の人のためか、見えない場所にいる人々のためか。
若いうちにたくさん学ばせてもらったお礼に、将来なにかを地球に還元していきたい。
まだ実感はわかないが、そんな考えを与えてくれる一冊である。

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