飯豊連峰主脈縦走【2024.6.6-9】

 装備共装   
アイゼン3、チェンスパ4、ガスヘッド、ガス缶、コッヘル、テント*1(ステラリッジ3人用)、ヘッデン、FAK、銀マ ピッケル×4
個装 
 ザック、登山靴、レインウェア、防寒着、帽子、サングラス、着替え、水、非常食、行動食、ヘッデン テント、シュラフ、シュラフマット、ガス缶、コッヘル、カトラリー、ビニール袋、ロール、タオル、財布 保険証、スマホ、モババ、日焼け止め、ライター、時計、ストック、計画書、お風呂セット、ココヘリ アイゼン、軽アイゼン、ピッケル、テント                
服装半袖時々長袖 夜はダウン
天気ほぼ晴れ
気温稜線の日中は20度前後。夜は10度以下

前書き
どうも、CLのあさきです。「飯豊主脈トレーニングパック」完結編となります。
トレーニングと称してメンバーにパワハ…情熱的な指導をして早2か月。あんなにも不安だったメンバー
がこんなにもたくましくなってくれて、部門長としてうれしさを実感した活動でした。
本編に移る前にこの活動がどれだけのものなのか、初めに語っておくとしましょう。
・総距離41.6km、登り3537mのロングルート
・福島から入り、山形を通り新潟へ抜けるというクソデカ規模
・食事を提供してくれる小屋はこの時期ない。すべて自身で用意
・アルプスほどの整備はなく、人も少ない
・そもそもギリ残雪期。水場が少なく水は雪を溶かして浄水器で作る
・稜線まではえげつない急登。しかもくそ暑いしくそ長い
・クマの生息地で有名
と、ハードなもの。
しかしたおやかな雪化粧をした稜線や人の暖かさ、壮大な山々に咲き乱れる花畑などなど天上の楽園と呼
ばれるにふさわしい天国が待っている。そんなハードであり天国でもあるルートである。

僕は飯豊が一番好きです

登山中謎の章分けをしながら登るのが流行ったので、その時考えた章のタイトルのままに書いていきま
す。
本編の前にトレーニング内容を公開していきます

第0章 トレーニング編

最初にどんなトレーニングをしたのか書いておきます。
・2か月間で合計荷重目標 男子250kg 女子150kg(このメンバーは全員達成)
・トレーニングパックとして、2泊(鳳凰三山)の活動を1回、きつめの1泊(飯豊山)を1回、1泊(五竜、蓼科)を2回実施
・それぞれの活動内で技術継承
4行で収まるけど、なかなかにハードなのものでした。そしてちゃんと効果あったな。
反省点としては、もう少し多く活動を立てること、早く動くこと。

それでは本編どうぞ

6/6

2:00 部室集合

遅刻しましたごめんなさい。
すでに食糧は準備したのでそのまま現地へ
今回は登山口と下山口が違うので、下山口に車をデポする必要がある。というわけでまずは下山口へ

5:00 東俣彫刻公園着
電波通じないので注意。ここにお風呂セットと風太さんの車(とおにぎり)をデポ
次は登山口へ

7:00 大日杉登山口着
車内では会話が弾んだ。本人たちの未来と尊厳のためにぼかすが、簡単に言うと

オ↑レの愛のおにぎりと、梅と米の比率
~忘れ去られた愛~

7:30 登山開始
2週間前の反省を生かし、蚊帳を購入したふうたさんはご満悦。さあ、急坂虫地獄へ

序章 地獄

9:50 地蔵岳
わかっていたが、長い!急!暑い!稜線までは地獄。思ったよりみんな元気だなとは思ったがやはり疲れる。3泊分背負ってるからなおきつい。
水場がないし雪渓もない。水分不足に注意
先週、下権現堂山で森に毎回感動していた1年生と本当に同じ生き物なのか疑うほどに感動がない。
ハヤクモリオワレという呪いにも似た感情がひしめく我らは上級生。1年生がまぶしすぎるのか、はたまた俺らの心が死んでしまったのだろうか。ああ老。おい..? おい、笑える

13:39 切合小屋
地蔵岳からは縦走チックになる。きついけど眼前の飯豊山に励まされながら頑張る。
切合手前には雪渓のトラバースがあり、まあまあ怖いからアイゼン推奨。後半は五竜の序盤くらい急なので、トラバースを回避し沢道をたどって雪渓上部へ行き安全に通過した

↑これがどんどん急になる。ポールは斜面上側の手に持つ。写真だと逆なのでこの後直した。

14:40 草履塚
切合でテント張りたいだろうけど先へ。雪渓をたどって草履塚へ。ここから先は楽しいの知っているから頑張れる。ポール大活躍でここみもみずきも使うのがうまくなっていた。やるやん

↑御秘所。楽しい

16:00 本山小屋
簡単な岩場を超え、御前坂の急登を超えやっと本日のテント場へ。途中きつすぎてか「おい、笑えない」を連呼するみずき、しりとりをやり始めるここみ、しりとりで考える時間が長いという罪を背負ったふうた、いさみペア。死刑。

「いやあ、頑張った!ここから先はずっと天国だぞ!」

このとき我らは知らなかった。この言葉は、この希望は幻想にすぎないのだと。

18:00 就寝
すぐにテントを張り、ごはんを食べ浄水器で水を作り就寝
ここみの米がうますぎた。さすがほっともっとの看板娘(俺称)
ここでも高所にバクテリアはいねえを繰り返すふうたさんとくたくたの皆をみながらおやすみなさい

第1章 天国

6/7
3:00 起床

とりあえず湯を沸かして飯を作る。昨日あまりご飯を食べられなかったみずきはがっつり食べられたようで安心。飯豊に浮かぶ朝焼けは泣きそうなほど綺麗だった
飯豊はきついが、こんな姿を見てしまったらもう来ないなんて選択肢はない。最高

5:00出発
5:30飯豊山

主脈の実質的なスタート地点。目の前の無限に続くたおやかな稜線。それが朝焼けに呼応して美しい姿を
見せてくれていた。これからここをずっと歩くのだ。

こんな景色はほかにない。天上の楽園という二つ名にふさわしく、草原に花が咲き、鳥が鳴く。天国って
こういうところだろう。これがかなり続いているのだ。そりゃきつくても来るわね

バーも元気。ひたすら「おい、わらえる」しすぎて飽きてきたほか(なお今後の工程でも乱用)、よくわからないけどくそほど笑っていた。

7:00 御西岳
まだまだ稜線は続くが、時々雪渓はある。まあ楽しい範囲だし。
俺とみずきは脊椎で会話、ここみといさみは何やら暑い話をしていたらしい。強いね
そして小屋へ。きれいでした
さあ、稜線歩き続行だと思っていたがそううまくはいかなかった

第2章 天使の裏切り

10:45 烏帽子岳
初めに断っておこう。この区間、本来はたのしいたのしい稜線である。
しかし、今は残雪期。こっわいトラバース、クレバス渡り、雪渓の登りが頻発し体力、精神がごりごり消耗されていく。
時期のせいだが、ちゃんと高難易度ルートで、グレーディングにするとDあってもおかしくはない。

そしてここみが頭痛を訴える。高山病か?いや風邪か、原因の特定ができず、とりあえず休憩を多めにとり薬を飲ませ、ザックの中身を全部ほかのメンバーで持ち、安全地帯を目指した。
最短のエスケープまで3時間。搬送の手順を頭の中で復唱していると、ここみから回復宣言が。ああよかった
2日目はこの区間が一番きつかった


11:30 梅花皮岳、梅花皮小屋
だんだん元気になるみんな。そしてようやく小屋につくとバーナーを出し、ごはんを作る。
なんとここに水場があり、大量にくむことができた。最強
山形県にいつのまにか入っていた。

第3章 おい、ネタ切れ


13:15 北股岳
きつい坂を上り切った先に北股岳が。ここから先は北飯豊とよばれるエリアになる。
もうここからはすべて自分が歩いたことがあり、不安も心配もない。そして最も天国へと近いエリアになる。みんなは死にかけているが、わくわくが止まらなかった。ここみは歌っていた
暑苦しい歌じゃのうとみずき。彼女のスマホから仁のメインテーマが流れるのは何度目だ。そして貴様は何歳だ。「神は超えられる試練しか与えない」とナレーションしていた、それ仁からなんだ

14:30 門内岳
相変わらず歌を歌うここみと暑苦しいというおばあちゃんことみずき。いさみは冷静
Bumpは暑苦しいらしい。
ここでも報告書の章について話していて、「第16章 探検部VS学務」「第17章 部停」などなどおもしろかったけど没になったので供養
そうこうしているうちに花畑が増えてきた。北股から門内は相当きれいな稜線歩き。CLが去年山岳会で登った二ツ峰への暑苦しい思いを語りながら、気づくと目の前には門内岳と門内小屋があった
疲れたし夜雨降りそうだしいっか!と思って2日目は小屋泊

途中門内沢から登ってきた人と話した。ここも去年降下したことがあるがまあやべえとこ。4月の五竜よりやばいかな。興味あったら強くなってぜひ。人生で感動した上位3には入っているからおすすめ。超むずいけど。
そんなとこ登ってきたとんでもガチ勢といろいろと話を膨らませているとすでにメンバーが米を炊いてくれていた。ごめんなさい

18:00 就寝
小屋内ヨガ大会の末おやすみなさい。耳栓欲しかった。
星めちゃくちゃきれいだった。佐渡超えたかも

6/8
3:00 起床

小屋なので準備めっちゃ早く終わるからのんびり起床。今日の行程は一番楽なご褒美回(のはずだった)。ここからの稜線の天国レベルが高いので朝日を見たくて早起きをした

もう雪渓がないのは聞いていたので楽しみしかない

第4章 山にバクテリアはいねえ

4:20 出発
日の出と同時に出発。やべえ、なんだこれ。見慣れているはずの朝日が今日は一段と眩しく輝いていた。
ここは飯豊最深部といえるかもしれない、山の奥の奥である。薄い雲海と雄大な山々を赤く染め上げる朝日は特別だった。白馬の時のとも違う、まさに日本の景色。きれいだなあ

この朝日でみずきは仁の名台詞を延々と語るボットへと化した。「先生はヘイセイという国へ帰ってしまうのですね」
おばあちゃん、今は令和である。

↑いさみが温かい目で見ていた。ふうたさんは仲間に加わりたそうだった

5:00 地神山
疲れを知らないような歩きやすく景色も花畑もやばい稜線が続く。これをみんなに経験させたかった。
地神直下では少し岩場があり滑りやすいので注意。

5:20 地神北峰
ちょっと休憩。補給食が尽きないように調整する。かなり多めに持ってきてもらったが、それでも余裕はあんまりないな、反省
ふうたさんが落とした補給食を「山にバクテリアはいねえ」として捕食。バクテリアはいる。

すぐそこに頼母木小屋が見える。ゴールの朳差も随分と近くに。

6:00 頼母木山
滑りやすいガレ場があったので注意。しかしここまでも気持ちの良い稜線。飯豊は飽きないな
ここは年末に来たばかりなので思い入れがあった。かつて5m先も見えない吹雪の中、帰りのための旗を立てラッセルしてたどり着いた頼母木山。冬とは景色が違いすぎるな

6:20 頼母木小屋
めっちゃ整備されてる小屋。水場がありこの時期だと最後の補給となるので多めにくもう。
アルプスの小屋かと思った。一回止まりたいなココ

8:00 鉾立峰
途中で熊の目撃情報を聞く。熊スプレーで臨戦態勢の2人にあったが、この二人なら素手でも勝てそうと思った。
ぶっちゃけ、目撃情報聞くくらいなら想定内であった。この辺めっちゃいるし。
ただ、この後あんなに近くで遭遇することになるとは…

鉾立峰直下はめっちゃ長くてめっちゃ急。がんばって
その後は花畑に癒され進む

9:00 朳差岳
念願の朳差岳。これで長い長い主脈自体は終わりとなる。
まだ下山でないので気は抜かないが、みんな本当に頑張ったなって。ここに探検部として立てた。それだけでちょっと泣きそうになった。

よっしゃ、ゆっくり休むぞ!と思っていたら
「めっちゃ早く着いたし、今日下山できそうじゃね」
と悪魔のような言葉が聞こえる。
ああ、そうかここから先の道のつらさを知っているのは自分だけなのだ。はやく帰りたい気持ちはわかるけど安全のためここで1泊するよ、と言おうとした。
この先はとにかく長く、急で暑い。真昼真に降りると暑さで体力の消耗が半端ないのだ。
が、今から下山なら、トラブル起こるような状態でなさそうだしトラブル起こっても対処可能だしビバークもできる。
ここで俺が止めて、別の活動で俺なしで強行突破して事故になる前に一度地獄を身をもって体験した方がよいのでは?と判断し下山OKを出し今日の分の夕飯を食べさせる。

この先の地獄を知っている人間なので、心が折れそうだった。

最終章 神は超えられる試練しか与えない

10:30 下山開始

はるか遠くの本山を見ながら、下山開始
ありがとう、飯豊連峰。次はまた秋に来るよ

矢印が飯豊本山。あそこからきた

11:00 前朳差岳
ここまではめちゃんこ綺麗。登り返しがあるがきれいだしちょっときついくらい

12:00 権内ノ峰
トラブルが起きてしまった。一帯を覆う獣臭。警戒していてふと視線を草むらに落とすと、1mくらいのところに黒っぽい哺乳類が。
クマだ
メンバーに存在を伝えるとほぼ同時に犬のような声で鳴きクマは立ち去る。声はこのYouTubeのものとほぼ同じであったhttps://youtube.com/shorts/kCrIzMWTfbA?si=SVtd60F90uDN8nty

しかもこいつは子熊。そして我々はおそらくなわばりの中。
一刻も早く立ち去らなければ親熊がくる。そう判断し、メンバー全員にクマを刺激せずに早急になわばりから出るように伝える。倒れない程度に急いで、襲撃前になわばりをぬけることができた。

この時誰かがパニックを起こしていたら全員襲われていたかもしれない。全員が対処を知り理想的な動きができたため何事もなかったが、重篤なヒヤリハットだった
クマは出る時はなにしても出るので(熊鈴とかあっても)遭遇後にどうするかが大切。そういった観点では今回は良い対応はできた。が熊スプレーなかったのは過失と言えるだろう

15:00 林道
登山道終了!ここからは1時間半ほど林道歩きである
ちかくの川に下り水をくむ。ふうたさんの水切りがうますぎた

林道をずっと歩いていく。そしてついに

16:25 駐車場着
登山終了!!!!!!!!!!!!
よっしゃあ!!!!!
2か月のプレッシャーから解放され声が出る
2か月間、みんなめっちゃ頑張ったおかげでこんなすごい活動が怪我無く乗り越えられて、ノウハウも残すことができた。
なにより、みんなが普通の登山だけでは味わえない楽しさも、技術も、リスクも知ってもらえて正真正銘ガチ勢となってくれたことがうれしかった。

みんなお疲れ様。さあ温泉だ!!!!!

16:50 関川温泉ゆーむ
下山場所から車で10分にある。よかった
車持ち組は車の回収のため登山口へ。片道1時間かかった

0:00 部室着 解散!!!!

成果

全員が山脈単位の大縦走を経験できた。これを通じて、山ガチ勢へとなれた

感想

飯豊はいいで!!!

ご褒美も、試練も全て1級品の飯豊連峰でみんなと縦走御できたことをうれしく思います

みんな頑張ってくれてありがとう。本当にそれに尽きます

またクマ対策を購入することを決めた

来年、同じ活動が立つことを祈ります

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