【巨流アマゾンを遡れ】
高野秀行
2003、集英社
3連休、高野秀行シリーズ第2弾。今回は、大学6年生の時に行ったというアマゾン川の源流を目指す旅を記した一冊。著者が道中に出会う人々や、アマゾンの環境やそこに住む人々をつぶさに観察している様子が伝わってくる。
1991年にダイヤモンド・ビッグ社より『地球の歩き方・気候ガイド アマゾンの船旅』として刊行されたものを、文庫版として復刊されたもの。
解説にもあるが、復刊されるまではほとんど市場に出回らず、幻の一冊とも言われた。
もともとは地球の歩き方のシリーズとして依頼されたものであるが、筆者にかかると旅行記になってしまったという。
その旅行記がとても読み応えがあり面白いというのも、筆者が「昔ながらのアマゾン、インディオ」を求め現地の人とのコミュニケーションに大きな時間がかけられているからだと感じる。
本書の魅力はなんといっても、現地で出会う人々のユニークさである。
南米一の大道芸人・サッソン。彼の技の「串刺し」は右の頬から刺して左の頬から出す。さらにさらに、上腕に串を刺し通し、それに紐を通して、重さが40〜50キロもあるバーベルを持ち上げるという。笑
個人的には、サッソンとの出会いが本書で最も印象深い。
彼は出身を尋ねられると、「南アメリカ全土だ。国境はない」というくらい、スケールの大きな男である。
願わくば、一度会ってみたいと思った。
一部では、これまで思っていたイメージ通りのアマゾンが本書では描かれている。一方で、文明化したアマゾンの実態やピラニアの生態など、これまでのイメージとは「あらっ?」と首をかしげるほど異なる点もある。
いかに自分たちが作り出されたステレオタイプにとらわれていたかが分かる。やはり現場主義で、実際に自分の五感で感じることが、自らの知見になると感じた。
「百聞は一見にしかず、されど百見は一験に如かず。」松下幸之助のいう通りだと思う。
あの範馬勇次郎も「百見は一触に過ぎず」って言ってますから。。
物語は、アマゾン最長源流・ミスミ山で幕を閉じる。そこで著者が目にしたものとは…その真相は是非本書を読んで感じていただきたい。
いつかアマゾンに旅しに行ってみたいですね〜。
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